2012年8月5日日曜日

Washington DC

空港に着き入国審査を経てから荷物を拾い、真っ黒のターバンと同じ色の髭が顔の七割の面を覆っている、恐らくはインド系のドライバーが運転する年季の入ったキャデラック(らしき車)に乗る。アイボリー色のレザーシートはふかふかで、古いアメリカ車らしくなんともふわりふわりとして後席の乗り心地は最高である。少し前に深夜乗った日産Fugaのタクシーとは正反対で、乗せてもらう分にはこういう乗り味も悪くない。
走りだしてすぐ、Northrup Gramanという巨大な文字が目に飛び込んできた。俺らの零戦などと太平洋で数多の激戦を繰り広げたあのF6F”ヘルキャット”などを製造した、20世紀の戦闘機史における巨人、”グラマン”である(本社はカリフォルニア)。ちなみに映画「トップガン」で有名なF-14”トムキャット”もグラマン。

Dulles国際空港を出て高速道路に乗ると、アメリカ生まれの日本車が多く走っている。トヨタのセコイアとか日産のパトロールとか、こういう巨大SUVがリーマンショックの前まで大きな利益を日本の大手自動車メーカーにもたらしたのだが、こういう車がサバ―バンやナビゲーターなどの米国産フルサイズSUVと肩を並べて片道6車線(そりゃ車幅2mあっても気にならんわな)の道を圧して走る。
そういう巨大なアメ車以上にアメ車的な外国製(おもにMade in US)日本車にはあまりなんとも思わんのだが、Mazda3(アクセラ)とかLexus ISなんかがでぶっちょアメリカ人を乗せて走っているのを見ると、「広島からこんなところまでやってきたんやなぁ、がんばれよ!」などと思ってしまう俺は少し国粋主義的かね。

高速道路を下りてDC郊外の住宅街の方に向かうと、世界の首都たるアメリカの首都とはいえ、一歩郊外に出れば森が広がり、その中に大きな芝生付きの邸宅と言うべき家々が軒を連ねる。日本の住宅事情がこれから改善することを祈らずにいられない。政府もようやく重い腰をあげつつあるが、住宅の中古市場が充実して、「家は補修しながら長く住み続けるもの。譲り渡すべき公共のもの」という認識ができてこないと、家に資産としての価値が維持されるようにはならないだろう。30年のローンを払い終わったらそのマンションには残存価値がほとんどゼロなんて言われちゃ、お父ちゃんはなんのために頑張ってローンを返したのかよく分かりません。

さて、今夜はナショナルズの試合(メジャーリーグ)を見に行こう。

初めての海外での暮らす場所がWashington DCというのも俺の行く末を思えば示唆的だ。
誰もがIphoneを持ってて、スターバックスはそこかしこにあるし、こうやってブログだってこれまで通り書けるわけだが、それでも俺は「アメリカに来た!」と精いっぱい力みながら研究と仕事に取り組もうと思う。

「アメリカにおける秋山真之」を再読するのがとても楽しみである。