2013年10月6日日曜日

「企業参謀」

狭いエコノミーの座席で大前研一「企業参謀」を読む。こんな本を30歳で書いたとは。
問題を把握すること、それを分析すること、対応策を優先順位をもって提示し、それを分かりやすく論理的に説明すること。いま自分にチームのなかで求められている仕事そのものであるように思う。
第三章(戦略的思考方法の国政への応用)を読むと、マッキンゼーが単なる企業コンサルタントではなく、国家戦略立案も請け負うことができる戦略コンサルタント企業であることがよく分かる。つまるところ戦略的思考とそれによる決断とは、他者に説明不可能な曖昧さや「なんとなく」という不可知の領域を徹底的に排除していく思考過程とその自然な結論と言える。
最も大切なことは、それにより導かれる結論が常に状況に対して最適であるということではなく、ある結論に至るまでの思考過程と熟議によって、クラウゼヴィッツが「戦場の霧」と呼んだような状況における不確実性に対しても、冷静かつ合理的に対応できるということのように思える。また、戦後の検証と反省も、ある決定に至る過程が判然としていればより容易であり、次戦のための教訓が得られるだろう。
なぜこの結論に至ったのか、この結論以外の選択肢をとらなかった理由は何なのか、そもそも我々の目的は何なのか。いかなる状況変化がその戦略にどのような変化を要求するのか。
毎日俺が仕事でイライラしてしまうのは、このことをチームで明示的に共有できていないからなのだ。ま、俺が未熟なんだけど。
こういう思考パターンは、恋愛でも安全保障でも当然使える。