2018年4月1日日曜日

常時接続

僕はいまこの記事をあiPhoneという機器を使って書いているのだけど。

この携帯電話というにもスマートフォンというにももはや適切でない、とてつもない機器を作る会社を作った人(Steve Jobs)は、果たして天から地球の人々を見下ろして、いまどういう感慨を持っているだろう?とよく思う。

ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルにも同じことが言えるのかもしれないが、iPhoneやその他のスマートフォンが、数多の「スマホ中毒」を生み出していることは、街中で電車やバスに乗れば瞬時にわかる。
天才Steve Jobsは、世界最大の企業を作り出し途方も無い富を生み出したが、天才の生み出したこの製品が麻薬のように人々を中毒に陥れるという可能性を想像しただろうか?

Steve Jobsは2004年のスタンフォード大学の卒業式の卓抜なるスピーチを、"Stay hungry, stay foolish"と締めくくったのだが、iPhoneを四六時中触ってあらゆるメディアを眺めたり人と常にチャットしていながらにして、hungryでfoolishでいる術(すべ)が、僕は馬鹿だからか、全く想像できない。なぜといって、我思うに、hungryでいることもfoolishでいることも、少なからぬ孤独を必要とするからだ。

今年1月にアップル株を保有する機関投資家が、「アップルは子供達の依存症に対するアクションをとるべきだ」という書簡を公開したのは、この意味でとてもタイムリーであり示唆的なことだ。
ロンドンのレストランで夕食をとる家族のなかで、子供二人が親と全く会話をすることなくそれぞれiPhoneとiPadにかじりついている異様な光景を見れば、CITYの投資家も中長期的なアップル株の保有について「はて?」と思うだろう。

そもそもの話、人間という動物は、「常時電子機器によって他者と繋がっているという状況」に耐えられるのか。四足歩行から二足歩行への移り変わりと同じくらい、重大な変化だと言ったら大袈裟か。