2011年9月19日月曜日

橘玲「大震災の後で人生について語るということ」



先日読了。

金融、投資等についての著作が多い橘玲氏の最新のものである。

「国家神話」「不動産神話」「円神話」「会社神話」が、もう終わった”神話”だと喝破し、危機が訪れた際の選択肢を広げておくことが個人のリスク耐性を上げることだと説く。

非常に、面白く説得的だ。

荒っぽく要約すれば、戦後日本におけるサラリーマンの人生戦略は、

”国を頼んで老後の年金を期待し、円を頼んで現金資産を円預金で持ち、会社を頼んで終身雇用を疑わず、不動産(の資産としての価値)を頼んで35年ローンを背負う”というものだった。

極度に偏ったリスク配分(資産のほとんどをマイホームが占め、それを入手するための資金の手当ては借入金)のために、会社から40代で投げ出されると再就職も厳しく、ローン返済のための首が回らなくなり、挙句に消費者金融の高利に辛苦して、最後には生命保険の契約条件を熟読する...

日本人の3万人が自殺をすることの一つの重大な原因だろう。

今、上の四つのうちいずれが信頼に足るだろうか?

国は財政赤字に汲々とし、円は「異常な円高」と言われるものの日本国債リスクが意識されれば突如として金利上昇に伴って売られる可能性もある。終身雇用はさらに少なくなっていくだろうし、日本の不動産が今後上昇することは、人口動態から判断して、あり得ない。