2012年3月3日土曜日

G.W.F.Hegel

「民族精神は、普遍的原理を根本要素とし、根本目的とするかぎりでのみ、世界史的存在である」

「世界史とは、精神が時間のなかで展開していくものである」

「自由は自覚されるものであり、思考と同一の根を持つ。動物は思考せず、人間だけが思考するのだから、人間だけが思考しているときだけ、自由を持つ。人間が自由を意識するということは、個人が自己を人格としてとらえること、すなわち、個でありながら内部に普遍性を持ち、あらゆる特殊的なものを捨象し放棄できる、無限の存在として自己をとらえることである」

「世界史は、道徳の本領たる、私的な心情、個人の良心、個々人の意思と行動といった場面よりも、もっと高い次元を動く...世界史的個人と言われるような大人物たちの行為は、かれらが意識しないような内面的な意味で正当化されるばかりではなく、世界の流れいう立場からも正当化される。...つつましさ、謙虚さ、人間愛、慈善などといったくだくだしい個人道徳をかれらに要求しても始まらない。世界史というものは、道徳が問題となったり、人のよく口にする道徳と政治の区別が問題になったりするような領域とはまったく違う。世界史は、道徳的判断などしない」