2012年7月23日月曜日

AKB48の選挙は凄い

あれをサラリーマンに喩えて言えば、数千万人という公衆の面前で自分の去年の査定を上司から通達されて今年度の職位を決定されるということでしょう。一般社会の常識を完全にひっくり返して大衆にそれぞれの女性個人の生殺与奪の権利を与え、かつそれを完全に可視化してしまったところにこのビジネスの凄まじさがあります。
彼女たちは物凄いものを晒しています。ボーナスの金額を開示するなんてレベルじゃないでしょう。

アイドルとは偶像。実像たり得ぬ偶像達が巨額の利益を出すにはあそこまでせにゃならんのですな。
もっとも、何を晒しても誰も振り向きもしない男女も掃いて捨てるほどいるというのが世の常ではありますが。

なぜ、今こういうビジネスが生まれ隆盛を極めているのでしょう。
恐らくは、血と肉を求める大衆は、もはや見世物の観客たるのみでは飽き足らず、かつてローマでグラディエーター(剣闘士)達の血の戦いに熱狂した大衆と同じような娯楽を求めているのでしょう。

となると、AKB48というのは一過性のものであるはずはないですから、芸能というものはますますそれに携わる人たちを祭り上げ、貶めるということをひたすらに繰り返すという仕儀になるわけです。
もちろん、これは何もアイドルを含めた芸能人にのみ当てはまることではなく、もとより大衆の投票により選抜される政治家になお顕著なことになるのです。
もっとも、今のところAKB48の選挙とは事なり日本の選挙では有権者一人には一票しか認められておらぬため、ここは大きな違いです。
しかし、それがゆえに有権者、特に数が少ない若者たちは民主主義とはいわずとも選挙というものの現状追認傾向に飽き飽きしているのだと思います。