2010年7月8日木曜日

好きなもの

コート:マッキントッシュの塹壕外套(トレンチコート)
2008年に初めて買った。感動的な美しさである。これを買って以来、寒くなるのが待ち遠しい。
高価な買い物だったが、完全に一目ぼれで、見つけてから5分後にはレジでカードを出していた。あと10年は大活躍してくれるだろう。常夏の国には行きたくないものである。ロンドンの霧雨のなかをこれの襟をたてて歩くのだ。渋い話だ。これが似合う男でいたい。そういう、自己を規律せんとする動機を与えてくれるものは、大切だ。

ノート:モレスキンA5判
会社に行くにも温泉に行くにも食事に行くにも(トレーニングに出かける時以外は)常に携帯している相棒ともいうべき落書帳。頑丈で、書きやすく、なにより100円ノートにはない重厚感がたまらない。落書帳を携帯するようになってから、常にネタを探して歩くようになったと思う。内容は、馬鹿げたものから思想までいろいろである。なくしたら悲しい。

ペン:クロス
倉敷の友人がくれた。書き味が優しい。しっとりとした重みがよい。僕の勤める会社はある一定の年齢を過ぎるとみなモンブランだ。なんだあれは。少し前の女子高生のヴィトンの財布じゃあるまいし。本当に一般的な日本人って、白洲次郎風にいえば”ぷりんしぷる”がないと思う。
その他大勢の一般的傾向のなかに、自己の選好を埋没させることほど自己の精神的自立を妨げるものはないと思う。

車:BMW(3シリーズ)
俺の小さな自由を可能ならしめる愛機。ドイツ製造業が生んだ傑作中の傑作。大げさを言えば、ドイツ民族はこの自動車を生んだという事実だけで歴史に対して偉大なる業績を残したとさえ思う。
これ一台で、二日で800kmのドライブも、キャンプも、デートも(軟派ですね)、夜中のかわいい暴走もなんでもごじゃれだ。
真価は高速道路の法定速度を何キロか超えたところで発揮される。金曜日の夜中12時に、首都高を抜けて東北道に入る。道沿いにビルがなくなって防音壁がなくなれば、アクセル全開の合図だ。一気に巡航速度をあげる。窓を全開にして長渕剛のアルバム・フレンズをかける。「このスピードなら2時間で330kmか」と一人にやつく。新橋や渋谷でサラリーマンが脂ぎった顔をてからせて、肝臓を大量のアルコールでジャブジャブにしてたるんだ顔で最終電車に乗るころ、俺は一人北を目指す。目的地は、たまに温泉。たまになにもなし。眠たくなったら(だいたい2時~3時)リアシートを倒してそこに寝袋を敷いて眠りにつく。朝は太陽が日の出きっかりに起こしてくれる。サービスエリアのトイレで顔を洗いコーヒーを飲んでまた走りだす。この時、実にまだ土曜日の朝六時。わくわくするではないか!!!
この車を買った時、納車を待つ愛機の顔つき、たたずまいが、俺にあまりによく似ていたものだから、店員さんに「この車は僕にそっくりですね!」と言ったら、「この坊主はなにを言うとんじゃ??????」という顔をされた。人間同士、わかりあうのはなかなか困難なものだ。

シャツ:フィナモレ(イタリア)
年収が1億円あれば20まいほどまとめて買いたい。少しづつ、じっくり買い足していこう。
大切に製縫されたシャツである。

コーヒー:スターバックスのエチオピア・シダモ(先日これを注文したら「エチオピアが政情不安で輸出されてないんです。。。」と言われた。May peace prevail in Ethiopia)

本屋:丸善(丸の内)
何より専門書、洋書の充実ぶりが素晴らしい。店員さんもプロ意識にも感動する。Webでどんな本でも買える時代だが、本屋で膨大な本の群れを眺めているだけで、実は「読書」していることになる。そういう本屋は、まことにありがたい。そういう本屋には未来永劫繁盛してくれないと困るので、僕はしっかり買います。ブックオフも重宝してますが。それにしても、京都河原町のジュンク堂は、さすがに学生の街だけあって、僕が読みたいような本は充実していたなと思う。
でも、神保町の古本屋のおやじの面白いほどの商売っ気のなさがなんとも好きだ。
ああいう特殊な空気を維持した場所があることは、希有なことだ。神保町ほどエキサイティング(あえての英語)な場所はない、かもしれない。

散歩:賀茂川、高梁川
岡山の高梁川は、夏の夕暮れがよい。船穂に太陽が沈むとき、西の空がオレンジに染まり低い山々の稜線をくっきりと浮かび上がらせる。俺の、数少ない原風景である。
京都の賀茂川は、出町柳で高野川と合流して鴨川となる。下賀茂、北大路の西を流れる。
ここは、日本有数の風光明媚な場所だと思う。僕はその川まで、徒歩3分のところに2年間暮らした。
こんな贅沢なことはなかった。コーヒーを飲むのも、読書をするのも、走るのも、友人と議論をするのも、この川の河原が一番だった。京都と日本が誇るべき川である。

酒:ザ・プレミアム・モルツ
「世界最高のビールをつくる!」というサントリーの執念の結晶。デフレの時代に6年連続で最高販売数量を達成した驚異のビール。「ビールは冷やしてノドで飲む」というスーパードライ的な貧相な世界観への確信犯的挑戦。典型的な「プロダクト・アウト」の商品。
これ以外のビールは最早僕の舌は受け付けません。すぐ赤くなりますが。