2010年7月29日木曜日

九州電力玄海原子力発電所

昨日、初めて原子力発電所を訪ねた。烏賊で名高い呼子から車で数分の、九州電力・玄海原子力発電所だ。
現在、沸騰水型軽水炉四基が稼働中、うち一基は昨年からMOX燃料(注)での発電を開始している。
九州電力の昨年の原発による発電は、九電の総発電量の42パーセント。鹿児島は川内(せんだい)の三号基が2019年に運転を開始すれば、この数字は50パーセントまで上昇する。

当たり前だが、警察の交番がすぐ隣にある厳重な警備を突破してから、タービン建屋や使用済み燃料プールを見学できた。
特に面白かったのは、使用済み燃料プールだ。ここには、MOX燃料と使用済み燃料を、ほう酸を含んだ純水のなかに保蔵している。北朝鮮の核開発のニュースの際に、毎度テレビに出てくるあの青くあやしく輝くプールである。MOX燃料も使用済み燃料も、放射能を発するために、水中での保管が必要だ。これらの写真をとることは当然ながら厳禁!!!だった。さらに、これらは容易に核兵器に転用できるから、保管庫内にはIAEAが設置した監視カメラがある。そばの看板には、「国際条約に基づき設置されたカメラであるため、触れることを禁ず」とあった。
この保管庫のなかでMOXを動かすときには、なんとIAEAから立会人が監視のためにやってくるそうな。

写真は、四基の原子炉建屋。手前には、排熱で温める温室。
批判も問題もある原発だが、原子炉一基が発生させる蒸気で回すタービン一基で、佐賀県全体の真夏のピーク電力需要を賄う原子力のパワーはとてつもない。
現在石油ガス大国までが、原発に向かって走っているが、世界は最も危険な"ウラン濃縮"を野心的な国家の指導者から遠ざけておけるだろうか。俺は、これを不安に思う。(下で俺がウラン鉱石に触れていることから分かるように、濃縮されていないウランは安全だ。ウラン235を自然界にある状態の濃度の0.7パーセントから約4パーセントにまで濃縮すると、民間発電用の低濃縮ウランとなり、99パーセントまで濃縮すると、原子爆弾の素材となる。そのため、原子燃料サイクルでも濃縮は最重量の部分であり、世界で四社しか濃縮サービスを提供する会社はない。)

写真をたくさんとりたかったなぁ。

注:MOX燃料モックスねんりょう)とは混合酸化物燃料の略称であり、使用済み燃料中に含まれるプルトニウム再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜたものである。 主として高速増殖炉の燃料に用いられるが、既存の軽水炉用燃料ペレットと同一の形状に加工し、核設計を行ったうえで適正な位置に配置することにより、軽水炉のウラン燃料の代替として用いることができる。これをプルサーマル利用と呼ぶ。