地球は丸く、人は白い。森は黒く、ただ海だけが怪しく光る。
小さくなった土の上に、末人たちが踊る。
松井冬子さんの絵を横浜美術館に観にいった。この人の画集を一冊持っているだけなんだが、新しい作品が沢山増えていて、見応えがある。3月18日迄。
この画家は、人間の理性というものにさしたる価値をおくことなく(と見える)、狂気や陶酔、人格の分裂や幽霊を恐ろしく繊細な筆致て描く。全てが平準化された現代社会に対する、余りにも美しい反抗、あるいは絶望。
生麦事件があったころの横浜は、弩級の田舎町だったのだろうな。