2012年1月23日月曜日

中国の住宅バブル

http://www.foreignaffairs.com/articles/136963/patrick-chovanec/chinas-real-estate-bubble-may-have-just-popped

Foreign AffairsのWeb版に掲載された中国の住宅バブルについての論文。
似たようなものはどこにでもあるかもしれぬが、コンパクトでとても読みやすい。

すでに中国は、麻薬中毒者にさらに強度の麻薬やモルヒネを打つが如くに、過剰在庫を抱えたデベロッパーを国営銀行が緊急融資によって延命させるという状態にある。
中国の不動産バブルについては数年来多くの人が警告を発してきたが、北京は特になにもしていない。国民が購入できる不動産の数を制限するなどはしているが。

だが、調整の足音は明らかにすぐそこまで来ている。
昨年10月、上海であるデベロッパーが高級マンションの値段を最大3分の1値下げした。これに怒り狂ったのが最高値を掴まされた購入者達だ。彼らはこのデベロッパーの事務所に押し掛け、金を戻すことを要求しながら窓を壊すなどやりたい放題をした。北京では昨年11月だけで新築の住宅価格が35%も下落した。ある代理店によれば、北京ではデベロッパーは約22か月分の在庫をすでに抱えており、上海でも21か月分の在庫が余っている。
中国は、ー日本もそうだがー、バランスのとれた内需主導の成長をついに実現することなく、設備投資により駆動されるバブル型の経済成長を突っ走った。
多くの地方政府は、レバレッジを効かせてインフラ投資を大規模に行ってきており、不動産市況が反転すれば年率8-10%の経済成長は夢と消えるだろう。

中国の住宅バブルは、世界の「生産」を精一杯吸収してきたことはいうまでもない。建築に必要な鉄鋼は石炭と鉄鉱石の価格を押し上げ、各種の機械や木材需要を高止まりさせ、そして中国の人々が消費財を大量に購入することを可能にしてきた。

それが、間もなく一転するだろう。
中国の多くの地方や都市に、誰もすまないマンションや高級住宅街が残される。
結局、バブルが資本主義とそのなかで活動する人間にとって魅力であるのは、貧乏クジを引かなければ、それは利を得る最大の機会であるからだ。だが、それは、常にゼロサム・ゲームであって、必ず誰かが泣く。泣くだけではなく、人が死ぬ。

それにしても、この物語における最大の皮肉は、太平洋の東側の住宅バブルによって世界経済が破滅するのを防ぐために、太平洋の西側に住宅バブルを再び生み出す他に策がなかったということだ(著者曰く、中国の多くの都市での住宅価格はこの二年間で2倍になった)。

望みは、著者も言うように、バブルが崩壊して低価格になり庶民にも手が届くようになった中国の住宅市況は、より健全な中国経済への転換を促すかもしれない。また、これまで過剰に不動産に流れ込んできた投資が他のより生産的な分野に向かうということも十分に考えられるだろう。

個人を守る国家や社会の力がどんどん弱くなっているように感じるのは俺だけではないと思う。
もはや政府を批判してどうなるという次元にはないだろう。
日本がなくなって、勤めている会社がなくなって、自分の資産すべてが吹っ飛んでしまっても、どうにか生き抜く術を得なければいけない。そういう覚悟を持って子供を生まねば子供が不幸になる。

まぁしかし、皆そうやって生きてきたんだよな。
俺だけが特別だなんて思ってちゃいかん。