2013年2月4日月曜日

暗雲立ち込める日本の行く先

首相が2%のインフレターゲットを叫んでも、副総理兼財務省が「将来は10%以上までの増税を行う確率はきわめて高い」と言ってしまっては(増税の是非如何は兎も角)、果たして国民はお金を使おうと思うだろうか。
根本的な前提として、日本の人口は減少しており上昇に転じる見込みはないのだ。
目の前で景気がよくなることは悪いことではないのだが、現在の日本の場合それは先の需要を先食いしているだけであって、それをちゃんと理解している人からすれば、例えば企業人らしく言うならば、「2020年に出るはずの利益を2013年に出しているだけでしょう」ということになる。2020年に出るはずだった利益は、2020年には出ないのだ。自転車操業である。しかも、これは、単に利益を先食いしているのではない。そう、GDPの2倍の国家債務をさらに積極的に増加させようとしているのだから。いつまでも長期金利が1%を下回ると考える人は、三宅坂(陸軍参謀本部があった)で「神州日本は無敵である」と叫んだかつての高級軍人官僚に近い。「神州日本の国債を買いたいという人はずっといるだろう」と言うのだから。
円安で製造業には確かに恩恵がもたらされているし株や不動産を資産に組み込んでいる人にはアベノミクスは有難いのだろう。
だが、日本人の多くは、これまでは6000円で満タンになったのに最近は7000円以上払わないといけなくなったことなどに、円安の弱点を感じているのではないだろうか。
 
円安すなわち貿易赤字縮小というようなことにはたぶんならないだろう。
普通に考えてみよう。日本は物を作るのに海外から物を買わないといけないわけで、円安によってこの仕入れコストが上がるから、それは円安により強化された価格競争力によって輸出が増えたとしても、相殺されてしまうんじゃないだろうか。
とどのつまり、賃金が20年間上昇せずともなんとか日本の中間層が生きてこられたのは、デフレと強い円のおかげだったと言える。
それが、緩やかなインフレによって実質的に賃金は下落し、おまけに変動金利で借りているローンの支払いも金利が上昇しそうだとくれば、金を使おうというほうが異状だ。
 
とはいえ、アベノミクス以外に対症療法もないのかもしれない。
2013年度の国債発行額を20兆円に半減すると宣言していれば、円は対ドルで82円、日経平均は9000円を下回っているだろう。その状況で、1000兆円の借金が減るわけでもないし、デフレ状況が一向に変わらぬ状況でお金を使う誘引もない。
アベノミクスは、がけっぷちまで追い込まれた日本が、起死回生を狙って帝国海軍の主力を向けたレイテ沖海戦(捷一号作戦)に似ている。戦史では、連合艦隊はこの戦いで実質的に壊滅したのだが、同様にアベノミクスの結果、国債暴落・金利急騰・円暴落ということになれば、日本は没落していくだろう。
 
子供が生まれない国に未来はない。
皆セックスばかりして楽しんではいるが子供には興味がないという社会が衰退していくのは、当然のことなのかもしれない。
子供がいない国とその国の経済に、希望と未来があるわけがない。介護が成長産業?本当かね。