2012年10月22日月曜日

独り言

◯新しいLexus LSが発表された。ほほぅ。どらどら。AUDI A8とBMW 7シリーズのアマルガムにしか見えぬ。
敢えてドイツ御三家ではなくこのドイツ車コンプレックス丸出しの車を買うひとはいるんだろうか。保守的な会社の社長さんはあのスピンドルグリルを受け入れてくれるだろうか。結局センチュリーに戻ってしまいはしないか。
日本車を模倣した韓国車と同じ穴の貉じゃないか。

◯アメリカのスターバックスは全店無料WIFIが飛んでいる。たまになにも頼まずに店の端っこに目立たぬように座りiPhoneやiPadでメールを取り込んだりWebを見たりしている人をたまに見かける。とはいえ、こういう「無賃乗車」がいたとしても、フリーWIFIがあるスターバックスは人気である。なくてもそうだが。
恐らく5年以内に日常生活の全域がオンライン化され、能動的にオフラインにしない限り常にオンラインの状態になるだろう。学校もレストランも家も飛行機も船も野球場も。iPadやiPhoneに詰め込める情報量は格段に増加し、クラウドも本格的な使用されているだろう。それがあなたの生存戦略にどんな影響を持つだろう。

◯二週間前、DCのホロコースト記念博物館にいった。
まぁ、想像される通りの展示内容なんだが、一番驚いたのはナチスドイツからの移民先を求めたユダヤ人に対して、アメリカを含むほぼ全ての国が極めて少数の数のユダヤ人を受け入れただけだったということだ(ユダヤ人がガス室に送られてしまう前のこと)。実際のところ、1943年の中頃まではナチスはユダヤ人の国外脱出を禁じていたわけではない。世界は、ユダヤ人の絶滅を意図したあの国家犯罪を知っている今から1942年にタイムマシンで戻れたならば、こぞってユダヤ人を受け入れるかもしれない。
ナチスの前代未聞の国家犯罪を、他国の不寛容のせいにしたいわけではない。だが、日本もあのユダヤ人の悲劇について責任の一端を担っていることは間違いない。
ちなみに、同性愛者や心身に障害を持った人たちもナチスの優生思想に従って片っ端から殺された。
だが、くれぐれも忘れたくないことは、「独裁がヒトラーを生んだ」のではなく、世界で最も民主的な憲法を戴いたワイマール共和国の選挙を通じて独裁者ヒトラーとナチスが生まれたということだ。ヒトラーを批判するのは容易いが、それは論理必然的に民主政治に対する懐疑に繋がる。

◯ヘーゲルは難解である。名前からして難解な感じ。ゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリッヒ・ヘーゲル。
それでも丹念に一行一行を線を引きながら読んでいくと、ぼんやりとしているが段々とヘーゲル思想の骨格が浮かび上がってくる。しかもそれが結構どこかで聞いたことがあるような気がするとは、たぶん近現代の哲学における彼の圧倒的な存在感によるものなんだろう。

◯アメリカにも高級寿司店はあるが、寿司はどちらかというとファーストフードになっているという印象だ。
アボガドを寿司飯で包み海苔で巻けばカリフォルニアロールができてしまう簡単さと健康志向から、完全にアメリカの食文化の一部になっている。
だが、本当に美味い寿司というのはほとんどのアメリカ人が食べたことがないものだと思う。高けりゃよいというものではないが、寿司を握ること、ただそれだけのために50年の年月を費やした職人が握る寿司は、やはり迫力が違う。
寿司と日本文化の面白いところは、寿司は料理の単純差で言えば例えばサンドイッチと同じように見えるのだが(だからアメリカの田舎の道路脇にも店がある)、その単純な料理が世界で最も有名な日本料理であり、数多の職人を擁しているという事実。
高級で贅沢な食材を使ったサンドイッチは沢山あるが、まさかサンドイッチ職人というのはいないだろう。
単純で全く手が込んでいないように見え、素材そのままのようなのに、その実計算されつくした匠の技が満載の寿司は、日本の食文化の至宝であります。

◯アメリカのメジャーリーグのシーズンの決勝戦を、ワールドシリーズという。松井秀喜選手が、「世界チャンピオンになれて幸せです」と言うのを聞いて、「世界じゃのうてアメリカのチャンピオンやろ」と呟いたのを思い出す。
だが、この巨大な国の民がそういうアメリカ=世界という思考に陥る理由も分かるような気がしてきた。
東海岸のワシントンDCから西海岸のサンフランシスコに飛べば時差は三時間(日本ーカザフスタンと同じ時差)、既に雪が舞うアラスカからサンディエゴに飛べばまだ平気でビーチでの馬鹿げたパーティごっこができるだろう。
ありとあらゆる人種が街を闊歩し、アメリカ料理はないが世界中の料理が食べられる。算出されるエネルギー・資源は豊富で、穀物生産量でも世界第一位。おまけに国語はリンガフランカ(世界共通語)の英語ときている。こやつらが、アメリカ=世界と勘違いする罪の重さは、他の国の民が自国=世界と勘違いする罪よりは少し軽いと言えるだろう。
残念ながら、アメリカ人の狭小な「大陸根性」は、カリフォルニアよりも小さな日本列島に暮らす我々の「島国根性」とはかなり質において同じでも、量に規模においてだいぶ違うようだ。

◯198cmで115kgはありそうなアメフトか総合格闘技の選手かと見違えるほどにジムで鍛えあげた男とすれ違った直後に、180cmで180kgはありそうな病的なほどの肥満体型の男と出くわす。
カリフォルニアでは男と男が手を繋い歩き結婚しているのに、中部の共和党の牙城では「進化論を子供に教えるべきか」とか「妊娠中絶は認められるべきか」とか議論されている。
総じてアメリカは他国より極端な国だ。中庸という言葉がこれほど似合わぬ国もなかろう。子供じみた国とも言える。かつてイラク戦争の前に、ラムズフェルド国防長官が、戦争に反対する独仏を「古い欧州」と言ったが、そりゃアメリカから見ればそうでしょうよ。

◯米海軍下士官により強姦事件。これを日本の法で裁けぬ日米地位協定は、祖国がアメリカの属国であることに揺るぎなき証左である。自国領土内で若い女性(日本人だろうが外国人だろうが)をレイプした糞のような人間を(外国人だろうが日本人だろうが民間人だろうが軍人だろうが)とっ捕まえて裁くことができぬ権力は、果たして主権と言えるのか?何人かの人達が俺のこの憤怒に共感してくれることを願う。アメリカ様にはたてつけませぬから、という商売人の遜りを俺は蔑む。
不平等条約改正のために大隈を爆弾で襲撃し、直様自決した来島常喜は、やはり凄い。

◯シリア内戦がイランとサウジのシーアvsスンニの代理戦争であるとしたら、アメリカが最重要外交課題と位置づけるのは当たり前。北京はシリア情勢を眺め、アメリカの足元を見ながら尖閣のそばまで海軍の艦艇を出してきている。