2012年3月17日土曜日

そして来たる君へ

俺の両親が勝手に俺を生み、いま俺は俺と妻との子である貴様を勝手にこの世に生もうとしている。
あの時存在しなかった貴様の意思とは全く無関係に、だ。

貴様にも、かつての俺と全く同じように、自分を生み出した父と母と自分自身を腹の底から呪う日が来るだろう。世界は君のためにはできていないという単純だが、幼い頃は誰もそうは教えてくれない原理のために、君はやがて世界から拒絶され、自分自身の内に閉じこもり、こんな馬鹿げた世界と両親なぞ滅びてしまえと願わざることあたわざる日が来るのだ。

世界と自身の無意味さを痛烈に自覚せざる総ての意識は理性とは呼べず、この理性なき生が決定的に欠いているのは意思である。そして意思なき生とは畜生の生であるという意味で、そんなものは産廃処分場にでも捨ててしまうがよい。
無意味な人生のなかで、干からびた陳腐な馴れ合いの友情や資本家達が喜びそうな消費に夢中になって、この無意味を誤魔化しながら生存すること、これを俺は絶対に許さん。バーナード・ショーに倣って言えば、これは、生きているのではなく存在しているに過ぎぬ。

俺は貴様に命と時間と血で書かれた書物を与えよう。だが、貴様が生きることの意義は与えぬ。もちろんそんなものは与えられぬ。誰も貴様にそれを与えることはできぬ。それは貴様が、貴様自身が闘い、勝ち取るべきものだ。

こんな馬鹿げた世界に来たる君よ。
君が世界以上に馬鹿な弩阿保であることを切に望む。世界には何も望むな。ただ自らがなすべきを問え。
世界は滅ぼされるべきか救われるべきか、畢竟、我々の問題はこれだけなのだから。

"お前のためにチームがあるんじゃねぇ。チームのためにお前がいるんだ。"

ー安西先生