2012年6月15日金曜日

嵐はくる

世界は株式投資では利殖できぬ時代になりつつあるような気がしています。
中国と資源の割合が高く危険と感じて800円後半で損切りしたある商社株は、今日800円を割り、証券会社はこの会社の格付けと目標株価を一気に下げました。

世界的に主要国が実質ゼロ金利政策をとっているということは、重病患者にモルヒネを打ちづけて小康状態を維持しているのと同じです。
欧州=ユーロが破綻すれば、ここを上客にしている中国の輸出が激減し不動産バブルーいつかここでも書きましたがーがいよいよ露わになると思います。これに米国の財政貿易の双子の赤字、日本の財政赤字が重なれば、世界経済そのものが破滅するのかもしれません。

近代以降、資本主義はたくさんのバブルを作り出し、バブルは恐慌を生み、20世紀にあっても恐慌を世界は最大の公共事業たる戦争で乗り越えてきました。
戦争は悲惨だという日本人は、この国が明治維新以来の沢山の戦争でぼろ儲けをしてきたことに注意を払わないのです。

第一次世界大戦下の好況なしに大正デモクラシーはなかっただろうし、朝鮮戦争なしに高度経済成長の火種はなかったでしょう。
逆に言えば、第一次世界大戦時の大規模な生産力拡大が、昭和恐慌の背景にあって、石原莞爾か満州事変を起こして新たなフロンティアを作り上げたのも結局マルクス風に説明さるうるところ大なのです。
最近ではアメリカがITバブル後に始めたアフガンとイラクでの戦争の間、世界経済は稀有な急拡大を遂げました。トヨタの純利益が2兆円を超えたのもたしかこの期間だつたはずです。

いや、これから大戦争が起こると言いたいわけじゃないんです。起こらないとも言いたいないですが。

明後日のギリシャ再選挙は、もちろん投資家たちにとっては大事なイベントです。しかし、緊縮財政派が勝とうが負けようが、1年後、いや5年後のギリシャ、欧州な姿はかなりはっきりしてきたように思います。

欧州共同体は、USE=United States of Europeにはなれない。
北米のわずかな地域を占めるにすぎなかった若きアメリカぎ西海岸に到達してニューメキシコを併呑するために、また中国共産党があの広大な大陸に覇権を確立するために、そして我が国で明治の元勲たちが中央集権国家を組み立てるために、歴史と大地はどれほどの血を必要としたでしょうか。

新たな政治的共同体=国家を、経済合理性からの損得計算から生み出せるというのは途方もない錯誤でしょう。

まず意志ありき。
次に手段がある。
そしてまれに成果がある。

それにしても、17世紀の30年戦争(ドイツ人口の1/4〜1/3が死んだと言われています)や前世紀の二つの大戦を経ても、尚我々は主権を譲り渡したくはないのです。
こういう国家を想像の共同体とかつて言った人がいますが、そうであれば人間の想像力とはかくも強力で粘着質なものかと驚かざるを得ません。

民主主義が財政赤字を不可避の同伴物とするということが分かっていれば、フランシス・フクヤマもけっして「世界の歴史は終わった」などとは言わなかったでしょう。

優子、まだまだ歴史は続くし我々は戦い続けるだろう。
退屈している暇なんかないから心配するな必要はないよ。

こう考えていれば、保守主義者が意志的に生きられるのか?という最近頭を離れない問いに答えを出せる。

何が言いたいかというと、実物資産が大事!ということ。