2013年8月13日火曜日

核兵器は「絶対悪」なのか

広島市長が言ったそうな。「核兵器は絶対悪」。

仮にこの命題が正しいとしよう。
単純な疑問が浮かぶ。絶対悪とまで言われる核兵器を作り出した人類は、核兵器と同様に絶対悪ではないのだろうか。絶対悪ではない存在が、絶対悪を生み出すことはできるのだろうか。それとも人類のなかの一部の極悪人が核兵器を生み出し、今も運用しているのだろうか。

残念ながら、違う。
核兵器を生み出したのは、アメリカ合衆国の最高の頭脳たちであったし、これに続いたいくつかの国の核技術者や政治家のなかに、世界を破滅させようとした人もいなかったと思える。家族を持ち、友人と酒をたまに飲む、広島市長と何ら変わるところのない普通の人間だったはずだ。
仮に核兵器が絶対悪であるのならば、核兵器を廃絶するためには人類はどんなことでもなすべきではないか?
T.ルーズベルトは、「もし正義と平和のいずれかを選べと問われれば、私は正義を選ぶ」と言ったが、絶対悪の核兵器を根絶するために、どれだけ平和を破壊しても仕方がないということになりはしないか。もし平和のために存在を許容できる程度の悪であれば、最早絶対悪などではなく、相対的な悪である。

思想的立場として、核廃絶を訴える人の気持ちはよく分かる。だが、この発言は単なるワイドショー向けの内容空虚な妄言としか言えぬ。

この市長の演説では、非戦闘員に対する核兵器による無差別爆撃を行ったアメリカ合衆国に対する批判は全くない。
この人は、「戦争なんだから東京大空襲で市民が10万人焼き殺されようが原爆が落とされようがアメリカを批判することはできない」とでも思っているのだろうか。
アメリカの戦争犯罪を忘れてはならない。それは今同盟関係にあることとは無関係のことだ。

NYC, 5th Ave, 35th stのスターバックスにて記す