2014年1月16日木曜日

林原靖「破綻ーバイオ企業・林原の真実」


岡山の名門企業、林原は2011年に会社更生法申請により化学品専門商社・長瀬産業の完全子会社となった。負債総額1300億円と色々派手に書かれたが、最終的にはこの93%の債務を支払った。異例の弁済率である。
このユニークな企業を手にした長瀬産業の手に入ったのは、無借金で年数十億円を稼ぎ出す優良企業だ。
オーナー企業であった林原が岡山駅前の一等地に保有していた1.5万坪の土地には、西日本最大のイオンモールが2014年11月の開業を目指して建設中だ。

地元のことなのに知らんのはいかんと思ってザッと読んだが、何故破綻させられねばならんかったか全然分からぬ。たぶんそれは、破綻前の専務であった著者のせいなんかではなくて、実際意味不明なのである。
「林原?あぁ、大王製紙なんかと一緒でしょ」とでも思っている人にはぜひ一読頂きたい。
林原が早く株式を上場していたならば...と思うと、残念だ。資金を銀行融資だけに頼ることの危険は、上場企業が株価に一喜一憂せにゃならんという事実を考慮しても、全ての中小のオーナー企業が把握しておかねばならんことだと思った。

脱線するが。
倉敷にはイオン倉敷とアリオ倉敷。岡山にはイオン岡山。いずれも凄まじく巨大な施設で恐ろしいほどの集客力を持ち、確かにここに金は落ちる。広島からも兵庫からも四国からも山陰からも客はミニバンを飛ばして来るだろう。
だが、そこには時給850円のアルバイトしか雇用はない。アルバイトの雇用が数千生まれても、家族を作り子を養うのに必要な所得は生まれない。
故郷に欲しいものはなんでも揃う便利で巨大なショッピングモールではない。必要なのは、子を育て、本を読むことができる生活を支える高給の雇用なのだ。
仕事はないが買い物するところだけは豊富にある故郷なぞ、糞喰らえだ。