2010年8月16日月曜日

四股を踏む

少し前に、YouTubeで貴乃花の現役時代の四股をみた。無形国宝に登録すべきと思うくらいの美しさである。
次にイチローの打席にはいる前の股関節のストレッチをみた。見ているこちらまで気持ちよくなりそうなぐらい深く股が割れている。まるで、彼の骨盤と大腿骨をつなぐボール・アンド・ソケットは大腿骨の360度の回転を許すのかと思えるぐらいだ。
俺もはや28歳。タイ料理を食べると汗が吹き出すし、たぶん代謝は落ちてはいないのかな?と呑気にかまえているが、少し気になる年頃になった。
格好よくて、自分の意思のままに動く身体を維持することは僕の最低限の目標である。
で、以下はこれについて最近考えていること。

二の腕をひきしめる、お腹周りをひきしめる。そのためにダンベルカールを毎日行う。毎日シットアップを行う。たぶん完全に無意味である、つまり、効果は全然期待できない。
だいたい、筋肉は「引き締まる」ものだろうか?
筋は肥大するか、縮小するか、運動においては収縮するか弛緩するかのどちらかしかない。
二の腕を「引き締めたい」人は、本質に目を向けるべきなのだ。

人間の肉体における本質とは、臍下丹田、すなわち肚である。臍より少し下。骨盤の位置にあたる。骨盤がどう位置しているか、それをとりまく内部筋(いわゆるインナーマッスル)がどういう状態にあるかで、その人の美しさや人生は一変する。
今回は特に脊柱と大腿骨を逆V字型につなぐ、大腰筋に注目したい。こいつは、身体の後ろ側から、大腿部を内側に繋ぎ止め、上方に引っ張っている小さなインナーマッスルである。想像がつくと思うが、こいつが弱いと、まず臀部が下がる。同時に臀部を脊柱の方に引っ張る力が弱くなるわけだから、臀部は左右に開く。つまり、「垂れ下がった大きな尻」ができるわけだ。こうなると、それよりも上方に位置していた小腸などの器官が空いたスペースに下がってくる。左右から締め上げる力が失われているため、便の通りは悪くなり、自然、腹部下部に滞留する大小便はここを冷やすことになる。肚が冷えるということは、身体が冷えるということで、こうなると10代のときのような高い代謝を維持することは不可能だ。
こうして、代謝低下→消費エネルギー減少→脂肪増加→運動部足→筋量減少→代謝低下という最悪の循環が始まる。温泉でみかける肥満サラリーマンの腹にだけ注目してはいけない。真に怖るべきは彼等の臀部から大腿部にかけての退化しきった筋群である。彼等の股関節周辺の深層にある内部筋は、すでに極度に弱体化し、骨盤を前傾させて脊柱が本来描くべきS字のラインを作ることもできないのだ(このS字ラインは、男であれば颯爽とした印象と自信を他者に感じさせる。女性はこのラインなしにせくしーでいることは不可能だ。つまりくびれ。)。これがさらに進むと、脊柱は前屈し、姿勢は猫背になる。顎が前に突き出るようになり、歩幅は小さくなる。それがさらに全身運動を制限する...
この大腰筋を強化するのに、四股は最適と思う。というより、他にいい運動が見当たらない。上で貴ノ花とイチローに触れたのには理由がある。貴ノ花は、現役引退後には完璧なダイエットによって160kg近かった体重を80kgまで落として健康だし、イチローは37歳というのにまるで高校生のように飛ぶように駆け、飛ぶ。顔周りの15年前のままシャープである。まるでき代謝が落ちておらず、27歳の身体を維持していることが伺える。イチローが、オリックス在籍時から、初動負荷理論に基づき股関節及び肩胛骨周辺の柔軟性と内部筋の強化に務めてきたことはよく知られている。数千万円の初動負荷トレーニング用の設備をシアトルの自宅とセーフコフィールドに置いているそうな。イチローとは反対に、股関節周辺の内部筋のトレーニングを怠り、外部の巨大な筋群(ムキムキのひとが自慢する筋群。たとえば三角筋、大胸筋、後背筋)ばかりを鍛えて大失敗をした天才打者に、清原がいる。彼はジャイアンツ入団依頼、バリーボンズのような、プロレスラーのような115kgにもなる身体を作り上げた。あの肉体でもって150m級の本塁打を打ちまくってくれたらさぞ楽しかっただろうが、現実は逆だった。清原は、外部筋群を肥大させただけではなかった。恐らく意図したことではなかっただろうが、他の多くのプロ野球選手や新橋の酔っ払いと同様に、太り始めたのだ。顔のラインが明らかに西武時代とは違ってきていた。あれは、明らかに代謝の低下による。その清原は、引退後、すぐに急激に太っている。想像した通りだ。イチローは恐らく死ぬまで苦もなくいまの体型を保つだろう。

身体の深いところ、本質的なところを知らねば身体を自由に大きくしたり小さくしたりすることはできないし、自由に自らの体をコントロールして運動することなぞ無理な相談だ。
俺は自分の肉体だけは、完全な自身の主権のもとに置きたい。だから、股関節が凝り固まらないように、高校のときのようにとはいかずとも、しっかりとしたトレーニングを継続する。逆に言えば、ここだけ押さえておけば、身体は自由自在に変えられる。
俺にとって究極の肉体とは、朝起きた瞬間に30mのダッシュをして木にのぼり、木から3mしたの地面に飛び降りてもびくともしない豹の身体である。豹からしたら、100mを走るためだけにご丁寧にウォーミングアップをしている人間が馬鹿らしくて仕方ないだろう。

代謝を高く、体温を高く。男の体は常に振り絞られた弓のように緊張しつつも、いつでも弛緩できなければならない。
そういう肉体にこそ、生物としての強力なエネルギーが宿るのであり、これなくしてオーラなんぞあり得ない。オーラオーラと言い偉そうにしていた肥満の男性スピリチュアリスト?が消えて行ったのは事の必然だと思う。
僕は腹に太陽を感じることがままあるが、これは上の話と整合的だ。身体が冷えては身体に太陽は宿らぬ。太陽なくば、そのひとは孤独に勝てぬ。孤独に勝てねば、指導者にはなれぬ。
かくして導かれる結論は、こうだ。

指導者は、四股を踏め。最低一日10回。

この投稿、過去にDocomoの携帯電話からGmailにccで送っていたものを転送したのだが、Gmailのメール検索のスピードは凄い。
Outlookなんかよりはるかに快適。そりゃ皆さん使いますわな。